中咽頭癌患者(男性)の体験談(2) 2014.8.17

出来ない事を嘆くより、出来る事を楽しもう

 

 私は2008年からPET検査を行っていまして、その3年後の2010年に中咽頭がんが見つかりました。なぜPET検査行っているかと申しますと、2000年と2006年に「悪性リンパ腫」を発症し、抗がん剤治療で治してきました。とくに2度目は自家骨髄移植までしました。

 そういうような経緯からPET検査が始まったのです。とくに2度目は治療の選択肢が限られるので、死を意識しました。家内の知らない預金通帳なんかをすべて書き記し渡しました。

 この2回を振り返れば最初は、公私ともに相当問題を抱えてましたので、完全にストレスによるものと思われます。2度目はやはり免疫力が低いのにも拘らず、仕事もセーブせず普段通りの生活習慣であった為だと思います。

 話を中咽頭がんに戻しますが、2010年の3月にPET検査の結果を聞く日でもありました。その帰りに定年の記念旅行としてハワイ旅行を申し込むために、家内と二人でパスポートをもって出ました。ところがPET検査の結果はまさかの「がんの疑いがあり」、大ショックです。また悪性リンパ腫かと頭をよぎりました。自家骨髄移植までやったので、次の治療はあるのかと一瞬頭をよぎりました。

 その時点でハワイ旅行のことは既に頭にはなく、二人は旅行社ではなくお墓で手を合わせていました。その後の検査結果で「中咽頭がん」と診断が出て、なぜかほっとしたような感じです。固形がんだったら切除すればいいや位の感じで、比較的早期に前を向くことができました。

 その後治療計画の主治医より説明を受けました。リンパ節転移だったので「あなたの場合は郭清手術と放射線治療です」と。

 出来れば手術は避けたいと思い、以前より重粒子線治療の情報を持っていたので、セカンドオピニオンとして兵庫県立重粒子線医療センターへ行きました。結果は「ここではあくまでも原発巣のみの治療しか行いません」と言われました。但し放射線治療でもIMRT法(強度変調照射)というのがあり、大阪には私の入院している病院を含めて、当時は4病院あることを教えてもらいました。

 早速病院に戻りIMRT法でお願いしたいと放射線科に申し入れしましたが、順番待ちで4か月あとだと言われ、耳鼻科に前倒しをお願いするも、縦の関係が強いのか、断られた様子でした。他の3病院は、病室から直接自身で電話しお願いしましたが、すべて断られました。おそらく一つには当病院の患者でないこと、もう一つは、当時は前立腺癌にIMRT法が保険適用になって、その患者が集中したのではと周囲から聞きました。

 耳鼻科としても4か月も待てないということで、やむなく通常の放射線治療を受けることにしました。20106月上旬にリンパ節郭清手術をして、月末から放射線治療がスタートしました。

 35回で65万グレイとのことでした、丁度4年前の今日が35回の最終日でした。思い出しますね、当初は通院でスタートしたのですが、徐々に口の渇き、喉の痛みが酷くなっていき、遂に30回目で我慢が尽きたのか入院をしました。喉の痛みと嚥下で苦労しましたが、何とか嚥下のほうも頑張って流動食がとれるようになったので、9月初旬に退院できました。

 3度目の癌もすべて同じ場所で何かおかしいと感じていました。そこで漸く結論に至ったのが、いままでの生活習慣を見直そうと思ったのです。そこからいろいろな癌関係の書物やセミナーにも参加した情報をもとに家内と検討しました。丁度仕事を卒業する決断をするにはいいタイミングでした。

 まず食生活は済陽式を参考に採用しました。五穀米・野菜中心・野菜はとくに抗がんにいいと言われているものを中心に、味は塩分を極力減らす。野菜ジュース(りんご・人参中心)500ml~1000ml/日を2年間実行し、現在は150ml~300ml/日です。

 食事以外の生活習慣として取り入れたのが

 ①咀嚼回数ですが、多分50回以上やっていると思います、これは、自分自身唾液が出づらいので仕方なくよく噛んで食べ物をどろどろ状態にして、それから少し水を飲み、胃へ流し込む。これは始めてから実感したのですが、胃に優しく・腸にも優しく、結果便通も快調になりました。最近よく言われている「腸内環境を整えれば免疫力がアップする」まさにこれです。

 ②体は出来るだけ冷やさないように腹巻き(夏以外)、と就寝時のソックス着用は必ず実行しています。

 ③出来るだけ昼寝をするように心がけています。約1時間位です。

 ④鼻呼吸はやはり自分が喉の癌をやっているので、出来るだけ人間本来の原則にもどり、空気中に漂うホコリやバイ菌から人体を守る防衛機能です。

 ⑤最近国立癌センター名誉総長の垣添先生や聖路加国際病院名誉院長日野原先生らも口腔ケアの重要性を新聞に寄稿されています。とくに頭頸部癌患者は、通常の方より口腔内の機能にはハンディがあります。私自身7項目あげましたが、特に意識しているのが口腔ケアです。やはり唾液が出づらい為、唾液の主な働きである殺菌作用・抗菌作用がうまく働かないということです。

 生活習慣の見直しを始めて半年後の2011/3に会社の退職を機に生活習慣改善の徹底と,あとは適度の運動も必要なのでジムへ通い、手術のダメージで肩甲骨の周囲を鍛えたりしています。そのほかには、免疫力アップのために好きなコンサート・絵画鑑賞、野球観戦も適当に楽しんでいます。

 2010/3に中咽頭がんを発症して4年になります、今年の3月に漸く家内との約束が延び延びになっていたハワイ行きを実現することができました。これからも出来る限り免疫力を高める生活を意識しながら、楽しい日々を過ごせたらと思っております。

 最後に私自身意識している言葉であり、皆さんともに共有したい言葉でもあります。

 

 

「出来ないことを嘆くより、出来ることを楽しもう!」

 

 

  皆さん ご静聴ありがとうございました。